「下天は夢か」などで知られるベストセラー作家で直木賞選考委員の津本陽さんの歴史長編小説「八月の砲声 ノモンハンと辻政信」をめぐり、著作権に抵触する部分が大量にあったとして、出版元の講談社が月刊誌「小説現代」6月号におわびを掲載した。
「八月の砲声」は1939年のノモンハン事件を通して、事件の拡大に関与した関東軍参謀、辻政信の人物像を描き出す作品。昨年8月に刊行された。
講談社の内藤裕之・文芸局長によると、出版後しばらくして、辻の著作権継承者の親族から指摘を受けたという。巻末の参考文献には辻の著書「ノモンハン」を挙げており、文中でも「辻参謀は著書『ノモンハン』に」などと出典を明示する記述もあったが、「(それを上回る)相当量の著作権に抵触する個所があった」(内藤局長)という。今回のおわびを掲載することで和解に至った。回収などの措置はとらない。
内藤局長は毎日新聞の取材に対して「この件については著作権継承者の了解を得て解決した問題。改めて説明することはお互いの信頼を損ないかねない」として詳細には答えなかった。
けれども、たとえば、津本さんの小説を辻政信の「ノモンハン」と比較すると、戦場で辻が受け取った命令や電報の配置などの構成、それに対する辻の判断の描き方など、酷似している部分がある。辻には他にもノモンハン事件についての著書がある。
津本さんの小説ではこれまで、91年10月に産経新聞に連載していた「天の伽藍(がらん)」で、ノンフィクション作家の金子民雄さんが書いた中公文庫「中亜探検」の解説文や「ヘディン伝」からの無断引用が見つかり、問題になったことがある。
【内藤麻里子】 (毎日新聞) - 6月2日3時7分更新
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Author:白旗
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